以下の記事で「乗車券+e特急券」の組み合わせによる新幹線利用について取り上げました。その中で、長距離の場合は『EX早特21ワイド』の方が安い、と記載していましたが、そのEX早特21ワイドが2025年5月7日より『EX早特21』に改称。大きな変更点として、“購入後の乗車変更不可”になりました。
新たにこども用価格が設定されたものの、全体的に値上げとなり割引率が縮小しています。これでは誰も利用しない気がするので『EX早特28ワイド』のように近いうちに廃止となる予感しかしません。
一方で『EX早特7』の設定区間が拡充。ひかり・こだま限定で新たに以下の区間が設定されました。
- 東京・品川・新横浜 ⇔ 名古屋・京都・新大阪
- 名古屋 ⇔ 京都・新大阪
首都圏~名古屋はEX早特21の代替になり得るか、早特商品として新設の名古屋~京都・新大阪は果たしてお得か、という視点で「乗車券+e特急券」との比較を交えつつ検証したいと思います。
名古屋発着の結論としては以下の通りです。
- 関東方面(東京・品川・新横浜)はアリ、特に繁忙期は割引率アップ
- 関西方面(京都・新大阪)は自由席で妥協出来る点を考慮すると微妙
料金一覧
年会費1100円のエクスプレス予約限定商品である『e特急券』と比較するため、名古屋からの料金をまとめます。EX早特7はひかりまたはこだまのみになりますが、参考情報としてのぞみと自由席のe特急券の料金も載せておきます。利用頻度の高い「東京・品川」「新横浜」「京都」「新大阪」の4つに絞ります。
e特急券(通常期)
特急券に関しては「東京・品川」と「新横浜」および「京都」と「新大阪」は同一価格。ひかりと記載していますが、こだまも同一です。
のぞみ | ひかり | 自由席 | |
---|---|---|---|
東京・品川・新横浜 | 4500 | 4290 | 4090 |
京都・新大阪 | 2960 | 2750 | 2270 |
参考情報として、以下は通常の特急券の料金になります。
のぞみ | ひかり | 自由席 | |
---|---|---|---|
東京・品川・新横浜 | 4920 | 4710 | 4180 |
京都・新大阪 | 3270 | 3060 | 2530 |
乗車券
東京・品川(東京都区内) | 6380 |
新横浜(横浜市内) | 5720 |
京都 | 2640 |
新大阪 | 3410 |
EX早特7
「東京・品川」と「新横浜」の差額は660円、「京都」と「新大阪」の差額は770円。これは乗車券の差額と一致しています。
東京・品川 | 9900 |
新横浜 | 9240 |
京都 | 4700 |
新大阪 | 5470 |
「乗車券+e特急券」 vs「EX早特7+在来線運賃」
乗車券とe特急券(通常期)を合わせた金額は以下の通り。
のぞみ | ひかり | 自由席 | |
---|---|---|---|
東京・品川 | 10880 | 10670 | 10470 |
新横浜 | 10220 | 10010 | 9810 |
京都 | 5600 | 5390 | 4910 |
新大阪 | 6370 | 6160 | 5680 |
ここからEX早特7との差額を算出していきます。早特商品は利用期間による価格変動はありませんが、指定席のe特急券は閑散期は通常期の料金から200円引き、繁忙期は200円増しになります。最繁忙期はいずれも早特商品の設定除外日のため、今回の比較の対象外とします。
閑散期・繁忙期・最繁忙期の設定日|エクスプレス予約 新幹線の会員制ネット予約
まずは在来線の運賃を含めず「乗車券+e特急券(ひかり)の金額」から「EX早特7の金額」を引いてみます。
閑散期 | 通常期 | 繫忙期 | |
---|---|---|---|
東京・品川 | 570 | 770 | 970 |
新横浜 | 570 | 770 | 970 |
京都 | 490 | 690 | 890 |
新大阪 | 490 | 690 | 890 |
「東京・品川」と「新横浜」および「京都」と「新大阪」はe特急券の料金が同じかつEX早特7と乗車券の差額が同じなので結果は一致しています。
これだけ見るとEX早特7がお得のように見えますが、EXサービスを利用する場合は在来線の運賃が別途発生するため、その分を引いた結果が最終的な差額となります。私の場合、JR最寄り駅の「鶴舞」から「名古屋」の運賃は現時点で200円のため、まずはその分を引いてみます。
閑散期 | 通常期 | 繫忙期 | |
---|---|---|---|
東京・品川 | 370 | 570 | 770 |
新横浜 | 370 | 570 | 770 |
京都 | 290 | 490 | 690 |
新大阪 | 290 | 490 | 690 |
ここからさらに最終目的地までの運賃分を引いていくことになります。
関東方面の場合
横浜アリーナに行く場合は新横浜から徒歩になりますが、それ以外は新幹線停車駅で終着ということはほとんどない気がします。地下鉄利用も意外となくJRで事足りることが多いです。りんかい線に乗ることはわりとありますが、その場合も大井町までJRでの移動が必要です。
ただし、きっぷの特定都区市内の範囲のJR運賃はせいぜい200円前後なので、その分を引いたとしても早特商品の方が割安ではあります。閑散期の場合は微妙ではありますが、通常期・繁忙期ならお得感は高まります。
関西方面の場合
冒頭に紹介した過去記事にも記載していますが、京都と新大阪は名古屋からの場合、営業キロが200キロに満たないため、特定都区市内制度は適用されません。なので、きっぷを購入する際は発着地を明確に指定する必要があります。
京都の場合。発の視点では、鶴舞でも名古屋でも2640円です。着の視点では、京都からJRで移動ということはなく大抵が地下鉄利用です。なので、最終差額は上の表の通りになります。
新大阪の場合。代表的な目的地は以下。
- 大阪城音楽堂(森ノ宮)
- 大阪城ホール(大阪城公園)
- Zepp Osaka Bayside(桜島)
- インテックス大阪(新大阪または弁天町から地下鉄)
- 京セラドーム大阪(大正)
- 堺または泉大津(新今宮から南海電鉄)
きっぷの場合、名古屋発とすると、この中では新今宮を除き乗車券は新大阪までと同じく3410円です。しかし鶴舞からでは運賃が変わり、3410円で行ける範囲(営業キロが200km以下)は環状線で言うならば内回りは西九条、外回りは桜ノ宮までとなります。そのため、上記で挙げた目的地はいずれも3410円で行くことは出来ません。
何が言いたいかと言うと、早特商品を利用する場合であっても、在来線の運賃全てが余分に発生するわけではない、ということです。なので、私の場合は京都・新大阪のEX早特7はそれなりにお得ではあるのですが…積極的に利用していくかと言うと、微妙なところかなと思います。
その理由としては、
- EX早特7はひかり・こだまのみ
- こだま自由席はほぼ確実に着席でき、名古屋~新大阪の所要時間はのぞみと大差ない
- 名古屋~新大阪のe特急券自由席の価格は東京と比べてひかり・こだまとの差額が大きい
自由席について。のぞみは2025年3月15日のダイヤ改正以降、3号車が指定席に変更となったことから1~2号車のみとなったため厳しい戦いとなりますが、1~5号車が対象のひかりは1人であれば比較的座れることが多く、自由席の割合が多いこだまであればほぼ確実に座れます。新大阪方面ののぞみとの差分は「岐阜羽島」「米原」の2駅であり、所要時間の差は許容範囲。また、自由席であれば列車を問わないため、のぞみにチャレンジし運が良ければ座れる可能性もあります。
そして、e特急券のひかり・こだまと自由席の差額は東京は僅か200円ですが、京都・新大阪は480円と結構変わるんですよね。指定席はシーズンにより価格が異なるため、繁忙期であればさらに200円増し。以上を踏まえると、ひかりかこだまに限られるのであれば早特商品を使わずとも自由席でよいかなーと思ってしまいます。
コスパの良い上りのひかり号
それならば東京方面も自由席でよいのでは?と言われると、万が一座れなかった場合困りますし東京までこだまはしんどい。先述の通り、e特急券のひかり・こだまとの差額は200円。以下は現在の上りのひかりの休日ダイヤになりますが、1時間あたり2本運行されており、8~19時台は所要時間1時間41分の列車と2時間弱の列車が交互に運行されています。


岡山~新大阪間も合わせて停車駅をまとめました。名古屋~東京間について、6~7時台と20~21時台はイレギュラーとなりますが、8~19時台については以下の2パターンとなっています。
- のぞみ+【豊橋 or 小田原】(東海道新幹線エリア内で完結)
- のぞみ+浜松・静岡+【三島 or 熱海 or なし】(山陽新幹線から乗り入れ)

つまり、東海道新幹線エリア内で完結の列車はのぞみ停車駅との差分は豊橋または小田原の1駅のみであり、所要時間はのぞみとほぼ変わりません。それでいて自由席との差額は200円なので非常にコスパが良いです。以前はEXサービスは閑散期も繁忙期も価格差がなく、自由席ですらも同一価格でしたが2023年秋にシーズン別料金が取り入れられました。それ以降は私は東京方面に行く際はこの“コスパの良いひかり”を狙って乗車しています。(上記表の通り、豊橋または小田原に停車するひかりは米原と岐阜羽島に停車するため、新大阪からの場合はのぞみとの所要時間の差はもう少し広がります。)
それもあってか、どうせひかりに乗るのなら今回新設された早特商品はわりと使えるかもなーと思いました。ネックとなる点としては、休日については1ヵ月先の列車ですらも×になっているので競争率が高いということでしょうか。早特7と言いつつ1ヵ月前の販売開始の1ヵ月前の10時に待機して予約する必要がありそうです。
長々と語りましたが、比較対象としているe特急券は年会費有料のエクスプレス予約の会員しか利用出来ないため、会員でない方は今回新設の早特商品は有力かと思います。個人的には、早特商品もスマートEX会員は不可になればよいのに、…なんて思ってます。
名古屋市民として切望すること
今回、名古屋~京都・新大阪の早特商品が新設されましたが。個人的に一番求めているのは、
「名古屋~岡山・広島・新山口の早特商品」
ですね。中国地方は名古屋からだと空路がなく、岡山と広島については片道600kmに満たないことからJRの往復割引も効かず…ということで、福岡よりも札幌よりも交通費かかるんですよね。小倉と博多は設定があるので、あってもよいのになーなんて思ってしまいます。この後取り上げる『EX旅パック』も日帰りについては山陽新幹線エリアは対象外です。
【番外編】日帰り1dayツアーについて
2023年秋より新サービス『EX旅パック』がスタート。予約後でも何度でも無料で列車の変更が出来る点、チケットレスで乗車出来る点が特徴です。

名古屋~東京区間では以下の日帰りツアーの設定があります。1名あたりの料金は概ね平日が17890円、休日が19250円であり、一部休日がさらに割り増しの20080円となっています。この商品は通常のEX商品と同様に新幹線区間以外の在来線運賃は含まれませんが、その点を考慮しても早特商品やe特急券を利用するより、一見割安であるように見えます。


出発日を選択し乗車区間・列車の選択へと移りますが、往路の時刻を9:00に設定して検索すると19時台の列車が表示され、前の時間帯を押下すると8時台の列車が表示されます。商品タイプの欄をよく見てみると、“予約可能な列車が限定 [EX旅Z]”という選択肢があります。以下QAの画面イメージのように選択肢が複数存在しないため、この商品の商品タイプはEX旅Zのみであることがわかります。

QAに従ってEX旅Zの対象時間帯を見てみると、以下の記載。
「6:00~8:59発の列車/19:00~21:29発の列車」

復路についてはライブやイベントから日帰りするには丁度良いぐらいの時間帯ですが、往路は私の場合、普通のライブであればそんなに早く出発しません。余程割引率が高ければ別ですが、昼食が外食になったり時間を潰すために余計なお金を使ってしまいそうであることを踏まえると、この程度の差額であればおそらくトータルで大して変わらず、それならば午後からゆっくり出発したいです。
フェスであれば使えそうではありますが、大抵のフェスは休日開催であるため、料金割り増しとなりお得度は薄れます。ただしのぞみも差額なしで選択出来るという点は魅力的ではあるので、早く現地に着きたい用事がある際は有力候補になり得ます。
以上、EX早特商品の改定をもとに、色々と比較してみました。これからも常にコスパを重視しつつお得に遠征したいと思います。
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