3ピースバンドのメンバー1人が休養。U-NEXTで独占配信されているドキュメンタリー映像『SHISHAMOの、裏側』にて「3ピースバンドの1人が欠けてしまったら?」という質問に
「もし私が何らかの形でドラムが演奏できなくなってもやってほしい。治る見込みがあるのならサポート入れてやってほしい。止まらないでほしい。」
と答えた美冴貴ちゃん。それに対し朝子は厳しめの返しをしていたが、まさかそれが現実になるとは。
2月1日に発表された、“吉川美冴貴 一時休養のお知らせ”。その時点で予定されていたワンマンライブ
- SHISHAMO ワンマンツアー2025春「NICE TO MEET YOUr town!!! 〜season2〜」(全7公演)
- PORTBASE OPENING SERIES “FIRST SAIL” Powered by MERRY ROCK PARADE
- SHISHAMO NO YAON!!! 2025(全4公演)
の計12公演、全てが終了。私はその全公演に足を運びました。今回は率直に感じたことを書いてみようと思います。
サポートメンバーについて
『MUSICA』2015年12月号にて「SHISHAMOっていう3人でやっているステージに他の人が立つのは、どうしても想像がつかない」と語った朝子。これは10年近く前の記事であり、『SHISHAMO 3』からホーンやストリングスなど3ピース以外の音が入る楽曲が増えてきているものの、ライブに限っては3人でステージに立つことを貫いていたSHISHAMO。そのためか、“SHISHAMOの3人以外の人が入るSHISHAMO”というのが全く想像がつきませんでした。バンドマンの友達がいないというのも周知のことなので、一体誰が?サポートミュージシャンも急に都合つけられる人なんているだろうか、何名かで交代制か?…など考えていたら。休養発表から3日後の2月4日13時。公式Xにてツアーリハーサルの様子を投稿。
歌川菜穂さん。2021年に解散したバンド「赤い公園」のドラム。2022年2月に「THE 2」に加入するも翌年5月に脱退。去年の8月頃から音楽の仕事を再開したみたいです。
SHISHAMOと赤い公園はこれといった接点はなかったが、どちらも好きな人は多く、このサポートドラマー発表にはかなり反響がありました。正直なところ全体的に盛り上がってしまっていたので、この状況を美冴貴ちゃんはどう思うか…ドキュメンタリーで話していた通り、自分のせいでSHISHAMOが止まってしまうよりはよいのだろうか。
私自身は赤い公園にそれほど詳しくなく、ライブを観たのは2019年の『LIVE DI:GA JUDGEMENT』でSHISHAMOと前後だった時が最後。菜穂さん個人としては「THE 2」での活動はライブを観る機会がないまま終わってしまいましたが、赤い公園ベンチおよびライブハウス「立川BABEL」で撮影された旦那さん顔出しのウエディングフォト、とても良い写真だったので鮮明に覚えています。
伊勢崎公演以外ということで逆にその日は誰よ?と。公演3日前の同じく13時、公式X投稿。
yuccoさん。「THE 2」の初代ドラム。現在は「the dadadadys」(2022年1月に「teto」より改名)で活動。…ということでまさかの「THE 2」繋がり。ツアーの後のワンマン各公演およびその他イベントは今のところは全て菜穂さんサポートで回っているので、yuccoさんはこの日限りの出演となりました。菜穂さんはこの日は別のバンドのサポートに入っていたようなので、先約で難しかったのかなと思います。
演奏について
いくらプロでもいきなり20曲覚えるなんて出来るのだろうか?今回は2時間もやらないぐらいかな、などと思っていましたが、ツアーの公演時間は2時間15分。SHISHAMOのライブとしてはやや短めではあるものの、ワンマンライブとしては十分な尺。お二方ともしっかりと仕上げてきました。プロのミュージシャンはやっぱり凄い、と素人の私としては感心してしまいました。
1公演限定でサポートしてくださったyuccoさん。ほぼ音源通りの演奏でした。この日限りなのが勿体ないぐらい、全体通して違和感なかったです。
対して菜穂さんは、音源と変えているところがかなりあります。例えば、ツアー1曲目に演奏していた「恋する」の2番Aメロ。
- ♪似ているあの俳優~のところでタム
- ♪君に惹かれてから~で8分×4でスネア
が入ってくるはずですが、それらが丸ごとないので、初日の時点で「ん?」となりました。そうかと思えば「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」の1番Aメロ終わりの♪少し落ち着く予定だったのに~の後にアクセント的にライド?入れていたり、「君とゲレンデ」の最後のドラムソロでタムに加えて1発シンバル入れていたり、とにかく結構変えて叩いてます。楽曲としておかしいわけではないのでそれはそれでよいのですが、手数が減っている側のアレンジについては、出来なくて変えているなんてことはないはずなので、単純に「何故?」と疑問に感じました。素人の私が気になってしまったので、2人は気にならないのだろうか。
ドラムのイントロから始まる「恋する」。ツアー初日の明石公演で最初の1音を聴いた時点でバンドとしては別物のように感じたので、『ドラムが変わるとこうも変わるのか…!』と鳥肌立ちました。音源と違うなんてことを言いましたが、ライブで音源通り叩かなきゃいけないなんてことはないですし、先日の野音最終日で「量産型彼氏」のドラムソロにカウベル入れてました。赤い公園のドラムといえばカウベルが特徴的なので、中にはグッときた人もいるのでは。(ただ、ドラムソロが見所のこの曲は美冴貴ちゃんの復帰まで封印と勝手に思っていたので、PORTBASEと野音でセトリに入れてきたことに驚きました。。)
私個人の所感
サポートドラマーを迎えたSHISHAMOを観た率直な感想としては、
「意外と違和感ない」
ということ。
…なんてこと言うんだ!と皆さんから攻められるような気がしますが、3つほど言い訳させてください。
まず1つ目は、サポートの完成度が高すぎるということ。プロなので当然なのかもしれませんが、来月のワンマンライブで20曲叩いてほしい、なんてオファーはなかなかの“無理難題”です。年内ラストライブは12月30日のCDJ。1月上旬にはインスタおよびファンクラブアプリ「ししゃモバ」のタイムラインにてプライベートの写真を投稿。タイムラインの最終更新が1月20日、その投稿はバンドの広報ではなくファンからの恋愛相談への回答。休養が決まっている状況でのんきに更新するというのは考えにくい気がします。仮に休養が決まったのがその後だとすると、菜穂さんに至っては猶予は2週間ほど。いずれにせよ年明け以降であることは間違いないので、本当に凄いと改めて思います。
2つ目は、私はSHISHAMOが好きというよりは「朝子が好きでSHISHAMOが好き」ということが大前提であること。“バンドとしては別物”という表現と矛盾するかもしれませんが、朝子が曲を作って朝子が歌うならそれはSHISHAMOだと私は思っているので、それが続く限りは応援をやめるつもりはないです。3人揃わないならSHISHAMOじゃない、という人もいるだろうし、実際にチケットを払い戻した人もきっといると思いますが、私はSHISHAMOが止まってしまうよりは何百倍もよいです。菜穂さん、yuccoさん、本当にありがとうという気持ちです。
3つ目はサポートメンバーの人選。“朝子が曲を作って朝子が歌うならSHISHAMO”…なんてことを言いましたが、誰でもよいかというとそんなことはなく。SHISHAMOの雰囲気に合わない人だとライブの空気も変わってしまいますし、3ピースバンドのど真ん中がオッサンというのもちょっとなぁ…と思ってしまいます。その点で言うと、菜穂さんはとても自然で、演奏以外の面でも本当に謙虚で前に出すぎない。ツアー中は気を遣ってか、サポートメンバーが全面的に映り込んでいるライブ写真はアップされていませんでしたが、『ツタロックフェス』終演後の公式Xの投稿。初の3ショット、良い写真です。
バンドマンの友達がいないSHISHAMO。先日のキュウソネコカミ主催の『極楽鼠浄土』のMCでも「人と関わる能力が欠如しているバンド」なんて自虐的に言ってました。菜穂さんとはツアー序盤ではまだ打ち解けられていないような印象を受けましたが、最近では朝子の当たりが結構強くなっているような気がしますし、演奏面では息ピッタリに見えます。誰が良い悪いと選べる状況ではなかったはずですが、本当に絶妙な人選だと思います。
音楽のお仕事募集の投稿の「自宅からの東京へのアクセスは2時間弱」という記載を見て、関東のはずれの方なのかな?と思っていたのですが、現在は甲信越に住んでいるようで。リハ1つやるだけでも大変そうですが、“超充実した日々”とのことで何より。“SHISHAMOは多分世間一般のイメージより何倍も男らしくロックなバンド”なんていう嬉しい言葉も。
今後について
野音では最終日においても解禁事は特になし。春フェスは出まくり、夏フェスも1本決まっているものの、今後のワンマンライブの予定がない、というのはこれまでにない状況。休養に関して現時点でメンバー視点のコメントが一切ないので、そこはやっぱり気になるといいますか、単純に心配ですね。次のツアーでの復帰の可能性を探っているのか、キュウソのタクロウさんのように長期の休養になりそうなのか。
誰よりもSHISHAMOが好きで、誰よりもSHISHAMOの継続を望んでいるはずなので絶対に戻ってくると信じていますが、こういうことを言うのももしかしたらプレッシャーになってしまうかもしれないので、今はゆっくりと待ちます。めでたく復帰した暁には『SHISHAMOの、裏側2』として、是非特集してほしいです。
30代になり野外公演が本当にしんどくなってしまったのでフェスは全通は無理ですが、どこかしら行きます~。
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