乗車券分割プログラムを用いて「きっぷ1枚+IC乗車」の最適分割点を算出

以下の記事で大阪の代表的な目的地を列挙した際に、私の最寄り駅「鶴舞」からではいずれも3410円(鶴舞~新大阪の乗車券料金)で行くことは出来ない、という話をしました。

名古屋市内の鶴舞から大阪環状線の西九条(内回り)、桜ノ宮(外回り)より先に行く場合、乗車券は3740円になりますが、私はいつも目的地まできっぷを購入していません。「3410円で行ける範囲のきっぷ+不足分をIC乗車」という形で乗車しています。ここでは境となる駅が西九条と桜ノ宮であると既に明記していますが、そもそもそれはどのようにわかるのか、着側ではなく発側を分割するのはどうか?…といったことを『乗車券分割プログラム』を用いて検証していこうと思います。

乗車券分割プログラムとは?

JR路線ではきっぷを分割することで運賃の合計が安くなることがあります。このプログラムを用いるとその最適な分割点を求められます。機能や対応路線、分割すると安くなる理由も詳細に明記されており、最終更新は現時点で2025年3月31日となっているため、最新情報にアップデートされ続けているようです。

乗車券分割は非推奨

乗車券分割はキセルのように不正乗車とはならないものの、以下の記事にある通りJR各社としては推奨していないようです。

きっぷを通しで買うよりも、途中駅で区間を分割して買うほうが安くなる場合があるのはなぜですか。 – 西日本旅客鉄道株式会社

かくいう私もきっぷを分割して購入するようなことはせず、原則1枚しか利用しません。理由としては、一言で言うなら「面倒」…だからなのですが、

  • 新幹線や特急が運行していない区間については、券売機から当駅以外発のきっぷは購入不可
  • 自動改札機に投入可能なきっぷの枚数は在来線は3枚、新幹線は4枚までであり、場合によっては有人改札を利用する必要がある
  • 途中で運転見合わせ等の事態が発生した際、目的地まで振替輸送を利用出来ない可能性がある

とデメリットが少なからず存在し、分割による差額のコスパが見合わないためです。

乗車券が1枚の場合の最適分割点を算出

乗車券は1枚のため、今回の内容は

  • 目的地より手前までのきっぷを購入し、不足分を乗り越し精算
  • 出発地ではICで改札を通過し、途中からきっぷを利用

のいずれかということになります。乗車券を分割して買うのは面倒だけどこれぐらいならよいか、と思うわけです。きっぷの区間を超えて乗車した場合、精算は分割乗車券と同じ扱いになるのか?という点が懸念されますが、以下説明があります。

出典:乗り越しをしたとき、どのような計算方法で精算しますか。 – 西日本旅客鉄道株式会社

これは何を言っているかというと、

A:きっぷの発駅(乗車駅)
B:きっぷの着駅
C:降車駅

とすると、精算は

片道100kmを超える区間:B→Cの運賃
片道100km以下の区間:「A→Cの運賃」と「A→Bの運賃」の差額

ということですね。なので、新幹線が運行しているような長距離の区間のきっぷであれば問題なさそうです。片道100km以下の区間の場合は最初からA→Cのきっぷを買うのと同じことになってしまい意味がありません。

そして、乗車券分割プログラム実行において、以下の2点がポイントとなります。

  • 検索除外駅に新幹線区間に該当する駅を設定
  • 最大分割数を「2」に設定

新幹線区間分の乗車券がないと当然ながら新幹線の改札を通過出来ないので1点目はマストであり、乗車券1枚+不足分をIC乗車ということは分割回数は2回となります。

それでは、実際の画面を見ていこうと思います。

初期画面では「名古屋」が選択されています。何故名古屋が初期値なのか、気になりますが私としては都合が良いです。これは完全に余談ですが…ソースを見ていて南大高のoption valueの値が気になり調べてみたら、2009年に開業された比較的新しい駅なのですね。昔は地下鉄ユーザーでJRにご縁がなかったので今の今まで知りませんでした…。

名古屋市内→西日本エリア

「鶴舞」→「大阪城公園」

今回は「鶴舞」から大阪城ホールの最寄り駅である大阪環状線・外回り方面の「大阪城公園」への経路を設定してみます。

まずは、プルダウン選択と同時に変化するようにしたいので“自動送信”にチェックを入れます。そして、東海道本線ではなく中央本線を表示させたいので、真ん中の路線のプルダウンから「中央本線(金山-塩尻)」を選択します。すると、次のように変化します。

続いて、発駅を「鶴舞」に変更すると、自動で2経路目のプルダウンが出現します。

ここからが少しややこしいのですが。実際に新幹線に乗るために名古屋へ向かう時は中央本線1本で2駅ですが、このプログラムでは各駅が1経路にしか登録されていないようで、名古屋は「東海道本線(東京-神戸)」の経路にしか含まれません。なので、中央本線の終点は「金山」となっています。そのためここでは中央本線は金山までとし、金山から東海道本線を使うという経路を設定します。

この先は在来線の経路としては名古屋→…岐阜→…と続いていきますが、大阪までは同じ東海道本線なので次は「大阪」を選択します。すると自動で「大阪環状線(天王寺-今宮)」のプルダウンが出現します。

最終目的地である「大阪城公園」を選択します。

これで経路の設定としては完了ですが、分割を最大限に活用した設定となってしまっているため、先程説明した検索除外駅と最大分割数を設定します。検索除外駅については、PCからであればコントロール内で選択したい1つ目の駅を選択した状態で[Shift]を押しながら末尾の駅を選択すれば素早く複数選択出来ます。

スマホ表示の場合はその技が使えず、全選択のような項目もないので地道にチェック入れるしかなさそうです。今回の場合は「枇杷島」~「東淀川」を設定します。正確に言うと、名古屋までは中央本線で向かうため東海道本線上で金山と名古屋の間にある「尾頭橋」も実際の経路では通過しませんが、一旦は無視します。

そして最後に最大分割数を「2」に設定します。すると検索結果が以下のように変化します。

冒頭にお伝えした通り、鶴舞から3410円で行ける区間は桜ノ宮までなので、このように結果になっています。通しで買うより180円お得ということになります。

「鶴舞」→「森ノ宮」

次は大阪城音楽堂の最寄り駅、大阪城公園の1つ先の駅である「森ノ宮」の場合。「大阪城公園」を「森ノ宮」に変えると以下のように変化します。

先程の大阪城公園とは異なり、発側の在来線が分割されています。桜ノ宮で分割するとどうなるんだ?ということで、名古屋より手前の駅を検索除外駅に設定してみます。

桜ノ宮~森ノ宮の運賃は180円。分割点は運賃が同一の区間内の最初の駅で判定されるようなので、大阪の表示になっています。鶴舞~金山を分割した方がより200kmを超えないギリギリのラインを狙えるということですね。

「鶴舞」→「桜島」

Zepp Osaka Baysideの最寄り駅の「桜島」の場合。こちらは大阪~桜島の運賃は200円であり、その先の野田が最適分割点となっています。

ここまで細かく算出しておきながらアレですが…私は大阪市内へ行く際はこの最適分割点を活用していません。どこへ行く場合も基本は以下で統一しています。

【行き】
きっぷで入場し「大阪」で出場 → ICで再入場
【帰り】
ICで入場し「大阪」で出場 → きっぷで再入場

これには理由があります。

本章冒頭の①の「目的地より手前までのきっぷを購入し、不足分を乗り越し精算」する場合。大阪城公園へ行く際に「鶴舞⇔桜ノ宮」のきっぷを買うようなことですね。行きについては、目的地である大阪城公園で精算するだけで済みます。無言できっぷを見せても、区間が不足していることを察知し不足分の運賃を案内してもらえるはずなのでICカードかスマホをかざすのみで終了します。

帰りについては、きっぷは区間に含まれていないためまずはICで改札を通過することになります。②の「出発地ではICで改札を通過し、途中からきっぷを利用」ということですね。JR各社で在来線から新幹線へのお乗り換え例を見ると、きっぷを先に投入し後からICをタッチするように案内されています。

新大阪でその手順で通過すれば自動で「大阪城公園→桜ノ宮」の運賃がIC残高から差し引かれるのか?…と以前一度試してみたことがありますが、この条件では通過出来ませんでした。おそらく以下の定期券との併用と同じ理屈で、大阪市内のきっぷであれば自動精算で通過出来るのかな、と思います。

出典:ICOCA定期券と新幹線乗車券を利用する場合、新幹線乗換駅での取扱いについて知りたい。<例>堺市から博多まで新幹線を利用して旅行する際、「大阪市内→福岡市内」というきっぷを買いましたが、堺市・天王寺間の「ICOCA定期券」を持っています。堺市から「ICOCA定期券」で乗車した場合、新大阪駅ではどうすればよいですか。 – 西日本旅客鉄道株式会社

そうなると有人改札で対応してもらう必要があるのですが、

  • 新大阪駅の有人改札は詰まっていることが多く(特に外国人対応)待ち時間が発生し、新幹線乗車に影響が出る
  • 行きの目的地での精算とは異なり、○○駅でICで通過したということを最低限説明する必要がある
  • 新大阪駅、名古屋駅、自宅最寄り駅の計3回、有人改札での対応が必要となる

…と非常にだるいんですよね。。そこで、

  • 行きも帰りも大阪駅(梅田)に寄り道することが多い
  • 寄り道しない場合でも、連絡橋口や中央口であれば京都線⇔大阪環状線のホームへ移動する途中に存在するため、一旦改札を出たとしてもロスはそれほどない

ということから、大阪駅で一旦改札を出てから入り直す、ということを毎度実行しています。大阪で分割すると先述の通り導き出した最適分割点からは若干劣ることが多いのですが、その差は20円とかです。駅員と面倒なやり取りする必要がないので、その20円は決して無駄ではないかなと私は思います。

色々書きましたが、簡潔に言うと、どこに行くにせよ大阪駅での乗り換えは必須となるので、一旦出ることで安くなるならそうするか~、…といった感じです。

ちなみに、自動精算出来るか試した結果駅員対応になった時は、一旦出場する場合と同じ精算額(不足の区間分のみ精算)となることが確認出来ました。

名古屋市内→東海エリア

「名古屋市内」→「御殿場」

JR東海エリア内の新幹線区間、つまりは静岡県内に行く用事は頻繁には発生しませんが、今回はこの分割の効果が発揮出来る区間のひとつを紹介します。

ラブシャこと『SWEET LOVE SHOWER』やアコチルこと『ACO CHiLL CAMP 2025』へ向かう際の最寄り駅となる「御殿場」。東京からなら在来線のみで十分行ける(むしろ新幹線を使うルートはコスパが悪い)ので東のイメージがあるのですが、沼津~国府津の御殿場線はJR東海の管轄になります。

名古屋から向かう場合、

  • 静岡で新幹線から在来線へ乗り換え
  • 沼津の1つ先の三島まで新幹線へ行き、1駅戻る

の2つのルートがありますが、②はUターン扱いになりそのようなルートはこのプログラムでは想定していない?(「三島」を選択するとその後は「東海道新幹線(三島-静岡)」の路線しか選択肢に出ない)ようなので、①の新幹線は静岡までとするルートを仮定します。①の方が料金が安いというのはもちろんのこと、②より所要時間はかかるものの時間帯によっては三島に停車する新幹線を待つのと大差なかったりします。

片道営業キロが200km以上の場合、特定都区市内制度の適用で発側は「名古屋市内」の表記となり、鶴舞でも名古屋でも変わらないので初期状態の名古屋から始めます。

沼津」で御殿場線へ乗り換え。検索除外駅は関西方面の時と同じ理屈で「尾頭橋」~「安倍川」を設定します。最大分割数は無限のままですが、既に経路が2つのためこれを最終結果とします。

沼津はちょうど乗り換え地点となりますが、ここで分割することで350円お得となります。結構変わりますね。JRの運賃は11~50kmは5km刻み、51~100kmは10km刻み、101km~600kmは20km刻みで算出されるのですが、これはどちらも絶妙なラインというわけです。

この分割はお得なのですが、名古屋~静岡区間はEX予約サービスの早特商品『EX早特1』が存在します。おとな片道1人あたり5490円。在来線を含めた料金は以下を合計した7030円となります。静岡~御殿場は100km以下のため、分割を考慮する必要性はありません。

  • 鶴舞~名古屋:200円
  • 名古屋~静岡:5490円(EX早特1)
  • 静岡~御殿場:1340円

EX早特1はひかり・こだまの自由席限定の商品なので、同じ条件のe特急券自由席を調べると名古屋~静岡区間は2530円

  • 名古屋市内~沼津:4070円(乗車券)
  • 名古屋~静岡:2530円(e特急券)
  • 沼津~御殿場:420円

合計すると7020円となります。EX早特1を利用した場合よりも10円安いのですが、こちらはきっぷを買う手間が発生するのに対しEX商品の場合はスマホ乗車で完結出来る上に、精算したり一旦改札を出たりといったことをする必要がないので私ならこちらにします。分割の効果が発揮出来ると紹介しておきながらそれ使わんのかい、というオチとなりすみません。そもそもの話、シャトルバスが運行するアコチルはともかく、ラブシャに公共交通機関のみで行こうとする人はまずいないと思うので非常にニッチな情報でした…。

「三島」を選択するとその後は「東海道新幹線(三島-静岡)」の路線しか選択肢に出ない、…といったことを書きましたが。「あれ?新幹線の路線って選べるんだ?これなら検索除外駅を設定するくだりは要らないのでは?」と思いました。名古屋から選択可能な新幹線の路線は「★東海道新幹線(名古屋-米原)」がありますが、米原まで選択したらその先は「東海道本線(東京-神戸)」と「北陸本線(米原-敦賀)」の選択肢しかありません。

新幹線の路線を含めた場合、下部に以下の注意書きが表示されています。プログラムの趣旨を考えるとこの説明自体は理解出来ますが、では“在来線と別線扱いの新幹線”は何のためにあるのだ?と。

「★東海道新幹線(名古屋-米原)」配下のプルダウンは「名古屋」「岐阜羽島」「米原」の3駅となっています。この真ん中の「岐阜羽島」、この駅は新幹線単独駅でありJR在来線と接続をしていません。なので、この駅のためにこの路線があるのかな、と。他在来線との接続点を作るために、その駅を囲うようにして前後の駅を含めた3駅のみの路線が設けられているのかな、と思いました。「三島」と「静岡」の間の「新富士」も同じく新幹線単独駅なので、そのようになっているのかなと。以上、完全なる余談でした。

名古屋市内→東日本エリア

「名古屋市内」→「さいたま新都心」

今度は関東方面を見てみます。さいたまスーパーアリーナ最寄り駅の「さいたま新都心」。検索除外駅は「尾頭橋」~「有楽町」を設定します。

これより、分割による効果はないということになります。京浜東北線上の「東京都区内」の端の駅は「赤羽」になりますが、名古屋市内~東京都区内は6380円、赤羽~さいたま新都心のIC運賃は318円なので、通してきっぷ買った方が安いということはこのプログラムを実行せずとも直感的にわかることではあります。ちなみに、東京都区内エリアを超える範囲でわりと良く行くという観点で他に挙げるとするならば、海浜幕張も同じ6600円になります。

「名古屋市内」→「千葉」

東京から千葉へ在来線で行くのであれば普通は総武線(快速)[JO]に乗ると思いますが、総武線(各駅停車)[JB]の路線上で千葉の3駅前の「新検見川」で分割することで163円お得となります。(IC運賃は167円)

「名古屋市内」→「蘇我」

『JAPAN JAM』でお馴染みの千葉市蘇我スポーツ公園最寄り駅の「蘇我」。3駅前の「検見川浜」で分割することで131円お得となります。(IC運賃は199円)千葉と同じ理屈で、400kmを超えないギリギリのラインで分割しているようですね。

ここまで、特定都区市内制度の範囲以外を目的地とする代表的な例を挙げてみましたが、全体的にニッチな情報になってしまっています。しかし、金銭面、労力、リスクなどを全て総合的に考慮し、最善の案を採用するということが、いかなる状況における私のポリシーですので、これからもコスパを重視しつつ楽しく旅をしたいと思います。

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